電験三種の通信講座は、安いもので3〜4万円、大手なら20万〜30万円かかります。(2026年7月時点・筆者調べ)
でも、先に結論を言います。電験三種の学習環境は、今ならほぼ無料で揃います。
私は、電気設備管理の会社員として働きながら電験三種に合格しました。勉強期間は約3年・総勉強時間600時間程度。使ったのは過去問と最小限の教材だけで、高額な講座は使っていません。
ただし、この記事は「無料教材を並べるだけ」の記事ではありません。合格して分かったのは、差がつくのは教材ではなく「教材の使い方」だということです。同じYouTube講義を見ても、受かる人と「勉強した気になるだけ」の人に分かれます。
- 無料で揃う教材の全体像(YouTube・過去問・アプリ・AI)
- 定着率を決める「アクティブリコール」の考え方
- 働きながら合格するための時間の使い方
すべて筆者の実体験ベースでまとめます。
結論:無料で揃う学習環境の全体像
先に全体像です。学習を5つのフェーズに分けると、それぞれに無料の選択肢があります。
| 学習フェーズ | 無料教材 | 役割 |
|---|---|---|
| ① インプット(講義) | YouTube(Aki塾長・電験合格・電験革命) | 参考書の代わりに基礎を理解する |
| ② 理解しづらい分野の突破 | YouTubeの図解動画+生成AIに図解等を用いた解説を依頼 | 電子回路・電気機器・パワエレ対策 |
| ③ 過去問の入手 | 当サイト内の過去問配布ページ+試験センター公式PDF | 過去問10年分以上を無料配布 |
| ④ スキマ時間の反復 | 過去問演習アプリ(コアQ・秒トレなど) | 昼休み・通勤中に暗記系を回す |
| ⑤ 振り返り・苦手管理 | NotebookLM(Google・無料プランあり)、Claude(アンソロピック・無料プランあり) | 解説のない過去問をAIがクイズ化・解説 |

費用の比較
| 学習スタイル | 費用の目安 |
|---|---|
| 本記事の無料構成 | 0円 |
| 本記事の推奨構成(無料構成+参考書1冊) | 約3,000円 |
| 市販テキスト+過去問集で独学 | 1〜2万円 |
| 通信講座 | 4万〜30万円 |
※価格帯は2026年7月時点の筆者調べ
「無料教材は質が低いのでは?」と思うかもしれません。でも、後述するYouTube講義は有料講座に匹敵する完成度ですし、過去問はそもそも公式が無料公開しています。足りないのは教材ではなく、教材を定着に変える仕組みです。次章から説明します。
教材より先に知るべきこと:「理解した」と「定着した」は別物
教材紹介の前に、いちばん大事な話をします。ここを飛ばして教材だけ集めても、おそらく合格できません。
「勉強した気になる」受動学習の罠
動画講義や参考書を読む学習は、受動的な学習です。受動的な学習は脳に負担がかからないので、楽です。楽なので続けやすく、「今日も2時間勉強した」という満足感も得られます。
でも、試験当日に問われるのは「講義を理解できたか」ではなく、「白紙の状態から自力で答えを出せるか」です。
分かりやすい動画を見て「理解した」という感覚と、本番で「思い出して解ける」ことの間には大きな溝があります。理解することと定着することは別物——これは私が受験を通じていちばん痛感したことです。
アクティブリコール:頭に負担をかける時間を増やす
その溝を埋めるのがアクティブリコール(能動的想起)です。難しい話ではなく、要するに「何も見ずに、自分の頭の中の知識だけで問題に答える時間」を増やすこと。もっと簡単に言えば、頭に負担をかけることです。
私の勉強はシンプルで、このサイクルの繰り返しでした。
- 過去問を解く(何も見ずに)
- 間違えた箇所を振り返る(答え合わせをして、間違えたところを再学習)
- また解く
思い出そうとして脳がきしむ、あの「負荷がかかっている感覚」こそが定着のサインです。逆に、動画を流し見している時間はどれだけ長くても負荷はゼロです。受動学習はインプットの入口としてだけ使い、勉強時間の主役は過去問演習に置く——これがこの記事の教材リストを貫く方針です。
正直に言うと、私がやらなかったこと
アクティブリコールの理論上は、間違えた問題を「忘れかけた頃に再度解く」——つまり再学習サイクルの管理をした方が定着効率は上がります。エビングハウスの忘却曲線に基づく間隔反復というやつです。

私はやりませんでした。理由は単純で、手間だったからです。どの問題をいつ間違えて、いつ解き直すかを紙のノートで管理するのは、働きながらの身には現実的ではありませんでした。
ただ、これは2015年当時の話です。今はAIがこの管理を肩代わりしてくれます。 当時の私が挫折した「苦手管理」を無料で自動化する方法を、この後のフェーズ⑤で紹介します。
学習フェーズ別・無料教材まとめ
① インプット:YouTubeの無料講義で基礎を作る
参考書を独力で読み進めるより、まずYouTubeの講義で全体像をつかむ方が挫折しにくいです。定番はこの3チャンネルです。
- Aki塾長:動画冒頭で「今日覚えること」を明示し、図解で動作原理を丁寧に解説。過去問を中心に解説(現在も更新中)
- 電験合格:基礎から応用まで体系的な講義。参考書代わりの主軸として十分な網羅性(更新停止・講義は視聴可能)
- 電験革命:電気の初学者・文系出身者向け。「しっかり基礎から教えてほしい」と感じたらこちらから(講義動画の更新は停止・視聴は可能)
※各チャンネルの更新状況は2026年7月時点
ただし、使い方を間違えると受動学習の温床になります。 私が勧める視聴ルールは2つです。
- 視聴後に、何も見ずに要点を書き出す(書き出せなければ「理解した気になっていただけ」と分かる)
- 1本見たら、対応する過去問を1問解く(動画→即アウトプットをセットにする)
② 動画でも理解しづらい分野は「AI」で突破する
電験三種には、テキストの文章と数式だけではどうしても理解しづらい分野があります。私の場合は理論の電子回路、機械の電気機器やパワーエレクトロニクスでした。参考書を何度読んでも頭に入らない。
突破口は「視覚的な説明」でした。当時の私はYouTubeで図解・アニメーションつきの解説動画を探して乗り切りましたが、今はもう一つ強力な手があります。ChatGPTなどの生成AIに図解を作らせることです。
例えばこんな依頼をします。
誘導電動機のすべりについて、電気の初心者にも視覚的に分かるように、図解を作って説明してください。

参考書は万人向けに書かれていますが、AIの図解は「自分が分からない箇所」だけを狙って何度でも作り直させることができます。「もっと簡単に」「水の流れに例えて」と追加注文できるのは、動画にも参考書にもない体験です。
特に数値や公式はテキスト・過去問の解答で必ず裏を取ってください。AIは「理解の入口」、正誤の最終確認は公式解答、という役割分担です。手元に参考書が1冊あると、この裏取りが一気に速くなります(詳しくは記事後半で)。
③ 過去問の入手:公式+配布サイトで10年分以上を無料で
過去問はお金を払わなくても手に入ります。
下記ページにて過去問PDFをダウンロードできるようにしています。

公式過去問の最大の弱点は「解説がない」ことです。間違えた問題の「なぜ」が分からないと、アクティブリコールの振り返りステップが機能しません。市販の過去問集を1冊だけ買うか、無料解説サイト(電験王)を活用するか、この後のフェーズ⑤(AIに解説させる)で補うか、が分かれ道になります。
④ スキマ時間の反復:アプリで「計算以外」を回す
働きながらの受験で、まとまった勉強時間は平日にほぼ取れません。スキマ時間の活用は「あれば有利」ではなく必須です。
当時は過去問のコピーとノートを常に持ち歩き、昼休みにサッと1問解く、を習慣にしていました。この「1日たった1問でも、白紙から思い出す機会を毎日作る」効果は想像以上に大きかったです。
今なら紙を持ち歩く必要はありません。スマホの無料アプリで同じことがもっと手軽にできます。
- コアQ:電験三種の過去問10年分+オリジナル基礎問題1,200問以上を収録し、学習履歴も保存できる。各科目の基礎問題を無料でお試し可。全機能を使うには買い切りのアプリ内課金(完全合格パック2,980円、科目別500円〜。2026年7月7日時点・iOS版。最新価格はApp Storeでご確認ください)
- 秒トレ(科目別):法規などの暗記分野を一問一答で回すのに向く
コツは、スキマ時間では計算問題を避けることです。昼休みの5分で計算問題は解けません。スキマ時間は暗記系・知識系のA問題、計算問題は机に向かえる週末、と割り切るのが現実的です。
⑤ 振り返り・苦手管理:NotebookLMで「自分専用の過去問クイズ」を作る
さて、前半で告白した「私が手間で諦めた再学習サイクルの管理」と、フェーズ③の「公式過去問には解説がない」問題。この2つを同時に解決するのが、Googleの無料AIツールNotebookLMです。
やることはシンプルです。
- 過去問と解答のPDFをNotebookLMにアップロードする
- 「過去問からフラッシュカード形式で出題して。回答ログを記録し、不正解の問題は出題頻度を高くして」と依頼する
- Studio機能でクイズが生成される
生成されるクイズは4択形式でヒント付き。回答するとAIが解説を出力してくれるので、公式過去問の「解説なし」問題がここで解消します。分からなければその場で「なぜ選択肢イは誤り?」と追加質問でき、アップロードした解答データを根拠に答えてくれます。しかもフラッシュカード(単語帳)も同じ資料から自動生成されます。
さらに一歩進めたい方には、Claude(アンソロピック)という選択肢もあります。過去問を読み込ませてクイズを出させるのはNotebookLMと同様ですが、回答ログをファイルとして残して「忘れかけた頃に再出題する」といった復習タイミングの管理まで、対話しながら柔軟に任せられます。無料プランもありますが、過去問PDFを読み込ませて毎日使うなら有料のProプラン(月額20ドル・約3,000円。2026年7月時点)が現実的です。
こうした設定自体が面倒だなと思う方は、先ほど紹介したアプリのコアQ(完全合格パック2,980円・買い切り)に過去問演習と苦手管理の機能が入っています。
働きながら独学合格するための1週間の回し方
参考までに、私の当時の時間配分を現代の教材に置き換えるとこうなります。

ポイントは、平日は「思い出す機会」を絶やさないこと、週末に「頭に負荷のかかる本格演習」を置くことです。平日の1問も、週末の3時間も、主役は常にアクティブリコールです。
1年目に電力・法規科目、2年目に理論科目…3年目に機械科目合格。累計600時間程度学習しました。
無料学習の限界:お金をかけるべきライン
ここまで無料教材を推してきましたが、正直に限界も書きます。
- 体系性は有料教材に劣る:YouTubeやAIは「点」の理解には強いですが、試験範囲全体の抜け漏れチェックは一覧性のある教材の方が確実です
- 質問できる相手はいない:AIへの質問でかなり代替できますが、AIの回答の正誤を見極める負担は自分持ちです
- 強制力がない:無料ということは、勉強をやめるハードルも低いということです。合格まで平均1,000時間と言われる試験なので、続ける仕組み(毎日の1問習慣など)を自分で作る必要があります
そこで、参考書だけは1冊購入することをおすすめします(3,000円前後)。理由は2つあります。
- 体系的な学習の軸になる:試験範囲全体を一覧できる本が1冊あると、YouTubeやAIで学んだ「点」の知識がつながり、抜け漏れにも自分で気づけます
- AIのハルシネーション対策になる:AIの解説が正しいか迷ったとき、最終確認できる紙の拠り所になります。裏取りのたびにネット検索するより、ずっと速くて確実です
私も書籍だけは手元に置いて勉強していました。無料構成に参考書1冊を足した約3,000円が、この記事の推奨する最小コストです。

逆に言えば、数万円の講座に申し込むのは、この無料構成を1〜2ヶ月回してみてからでも遅くありません。それで学習が回るなら、講座は不要です。
まとめ
- 電験三種の学習環境(講義・過去問・演習・苦手管理)は無料で揃う
- ただし合否を分けるのは教材ではなく使い方。受動学習は入口だけ、主役はアクティブリコール(何も見ずに解く時間)
- 理解しづらい分野はYouTubeとAIの図解で視覚的に突破する
- 働きながらなら、スキマ時間の「毎日1問」を絶やさない
- 私が当時手間で諦めた苦手管理・再学習サイクルは、NotebookLMで無料で自動化できる
- AIの裏取りと体系的な学習のため、参考書1冊(3,000円前後)だけは購入がおすすめ
「理解した気になる」勉強からの卒業が、合格への最短ルートです。
次に読みたい記事
教材が揃ったら、次は進め方です。何から手を付けるかはこちらの記事で詳しく解説しています。

働きながら挑戦する意味に迷ったら、こちらもあわせてどうぞ。

