クラオくん電験3種って、取ったら今の仕事とどう変わるの?調べても制度の説明ばっかりなんだよー。



だよね。じゃあ今日は制度の話は短めにして、私が電験3種取得後に何が変わったかを書くね。
いま電気の仕事をしていて、電験3種を勉強している。
そういう人がいちばん知りたいのは、たぶん「取ったあと、自分の手が届く仕事はどう変わるのか」だと思います。
私も同じでした。
ちなみに私は、高圧の電気設備の管理・運用に関わる仕事をしています。(なお、選任された電気主任技術者ではありません。)
この記事は、高圧電気設備の管理運用をする業務の目線から、電験3種がどのように役立つのかについて書いてみました。
- 電験3種を取ると、従事する仕事がどう変わるか
- 現場で資格が効いた、具体的な場面
- 資格と経験、どちらが先に要るのか
先に結論を言うと、電験3種で変わったのは2つです。
①手が届く仕事の範囲が変わりました。私は設備設計業務から、運用・管理業務へ異動しました。
②現象が起きる理由を、理論で理解・説明できるようになりました。
そしてもう1つ。いま過去問で解いている計算は、思っているよりそのまま現場に出てきます。電圧降下も、%インピーダンス法も、関連法令もです。
電験3種の仕事内容とは?|工事する側から、管理する側へ
電験3種で担えるのは「工事」ではなく「保安の監督」
電験3種(第三種電気主任技術者)で担えるのは、電気工作物の工事・維持及び運用に関する「保安の監督」です。
範囲は決まっています。
電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く)の工事、維持及び運用の保安の監督。
保安の監督と言われても、イメージしにくいと思います。
ざっくり言うと、設備が安全な状態で動いているかを見て、問題があれば手を打つ役割です。
電気の仕事をしている人なら、ここで違いがはっきりすると思います。
| 電気工事士 | 電気主任技術者(電験3種) | |
|---|---|---|
| 主な役割 | 電気工事の作業に従事する | 電気設備の保安を監督する |
| 立ち位置 | 手を動かして作る側 | 安全に動いているかを見る側 |
| 必要になる場面 | 施工 | 設備の維持・運用 |
作る側から、見る側へ。この移動が、この記事で書きたいことのほとんどです。
私は「設計する側」から「運用・管理する側」へ移りました
電験3種を取得する前は、設備設計の仕事をしていました。
簡単に説明すると、条件を決めて、図面の上で電気設備の設計をする仕事です。
そして電験3種取得後は、運用中の電気設備が正しく動作し、正常な電気となっているかを運用・管理する仕事をしています。
正常な電気とは、電圧が決められた範囲に収まっているか。異常があれば、どこで何が起きているのかを確認し、対応する仕事です。
設計は「目の前のこれからを作る」仕事で、運用・管理は「全体の動いているものを維持管理する」仕事でした。
スポーツで言うと設計は選手で、運用・管理は監督のようなイメージです。
ただ、まったくの異世界ではありませんでした。電気の仕事をしてきた人なら、土台は続いています。私も設計で扱っていた知識が、運用の場面で役立つことがよくあります。
電験3種が現場で役立つこと



でも結局、経験がある人のほうが強いんでしょ?資格って現場で本当に使うの?



経験が強いのは本当だよ。ただ、経験だけだと「前もこうだった」で止まるんだ。そこから先に進めたのが、勉強した知識だった。
「起きたことへの対応」から、「なぜ起きたかの推定」へ
異常な電圧が出たとき。停電が起きたとき。
現場ではまず、目の前の状態をどうにかします。
資格を取る前の私は、そこで終わっていました。起きたことに対応して、終わりです。
いまは、その先を考えられます。なぜその値になったのか。何がどう繋がると、この現象になるのか。
理屈で捉えられると、対策が「今までこうだったから、こうすれば治る」から「これが原因だから、この対策で根本的解決する」に変わります。
【実例】変圧器を充電するとき、大きな電流が流れる理由
変圧器に電圧をかけて動かし始めることを、現場では「充電」と言います。
このとき、定常時よりはるかに大きな電流が流れることがあります。
これが『励磁突入電流』です。
理由は、変圧器の鉄心にあります。
鉄心には、前に電圧を切ったときの磁束が残っています。これを残留磁束と言います。
そこへ、電圧波形のどのタイミングで投入するかによって、磁束がさらに積み上がることがあります。磁束が鉄心の飽和するポイントを超えている間、電流が大きくなります。


私が検討したのは、電圧変動への影響でした。
大きな電流が流れるということは、その瞬間に電圧が動くということです。それが周りにどう影響するのかを見積もる。
原理が分かっていると、何を見積もればいいのかが自分で分かります。
資格を取る前の私なら、「そういうものだ」で終わっていたと思います。
いま解いている計算は、現場にそのまま出てきます
どの科目が効いたのかと聞かれると、機械(変圧器)と理論だと思います。
そして、勉強した内容がそのまま現場に出てくる場面は、多々あります。
| 勉強で出てくるもの | 現場での出てき方 |
|---|---|
| 電圧降下 | 電線を流れる間に電圧がどれだけ下がるかを見る |
| %インピーダンス法 | 短絡したときに流れる電流の大きさを見積もる |
| 関連法令 | そもそも守るべき基準そのもの |
過去問を解いているときは、正直「これ何に使うんだろう」と思っていました。
でも現場に出ると、普通に出てきます。
いま手が止まっている計算問題は、数年後のあなたが現場で判断するための材料になります。
勉強が苦しい時期は、ここを思い出してもらえたらと思います。
〜勉強時間が取れない社会人のスケジュール術〜


資格と経験、どちらが先?|転職を考えている人へ
いま電気の仕事をしていて、設備管理・保安の側へ移ることを考えている人。
資格だけでは、現場の経験は手に入らない
「電験3種は役に立たない」と言われる一番の理由は、ここだと思います。
現場での経験は、資格取得だけでは得ることができません。
設備ごとの癖も、トラブル時の段取りも、実際にその場に立たないと分かりません。私も、異動してから覚えたことのほうが多いです。
だから「資格を取れば一人前」とは、私には書けません。
ただし、逆も事実です。経験だけでは、初めて見る事象の理由を説明できません。
資格は、経験を意味のあるものに変えてくれる道具になります。
資格が「移るきっかけ」になりました
電験3種を取ったことをきっかけに社内の評価が変わり、いまの部署へ異動になりました。
- 電験3種をきっかけに社内評価が変わり、運用・管理の部署へ異動
- 社内の有資格者は体感で2〜3割くらい
- 私のいる部門ではさらに少数。3種を持っているということで、一目置かれていると感じます
ただし、これは私の勤め先の話です。会社によって扱いは違いますし、資格手当があるところもあれば、ないところもあります。
〜電験3種を取って変わった5つのこと〜


「資格 → 転職」以外の順番もあります
これから動こうとしている人に、ひとつだけ補足しておきたいことがあります。
資格を取ってから設備管理の仕事に移る、という順番だけが正解ではないかもしれません。
先に関連する業務へ移って、経験を積みながら資格を取る。そういう順番もあります。
| 順番 | どんな形か | 私が知っていること |
|---|---|---|
| 資格が先 | 資格を取ってから、設備管理・保安の仕事へ移る | 私はこの形でした(社内異動) |
| 経験が先 | 先に関連業務へ移り、働きながら資格を取る | 見聞きした話として知っているだけです |
見聞きした話として書きますが、資格を持っていても、電気設備管理の経験がないと採用されない企業もあるそうです。
経験の有無は、思っているより大きいです。
もちろん、資格がきっかけで移れた私のような場合もあります。どちらが正解という話ではありません。順番は1つではないと知っておくだけで、選択肢が増えるはずです。
まとめ|いまの経験に、資格を足すと何が起きるか



じゃあ、いま勉強してる分は無駄じゃないってこと?



無駄じゃないよ。電験3種の知識は、現場で普通に出てくるから。
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 電験3種で担えるのは、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く)の保安の監督
- 私は設計する側から、運用・管理する側へ移った。電気の経験があるなら、土台は続いている
- 現場で効いたのは、「なぜ起きるのか」を理論で説明できること
- 電圧降下・%インピーダンス法・関連法令は、そのまま現場に出てくる
- 現場の経験は資格では手に入らない。資格は、経験を意味のあるものに変える道具
いま過去問と向き合っていて、手応えがない日もあると思います。
その計算は、数年後のあなたが誰かに説明するための材料になります。
あわせて読みたい
〜「やめとけ」と言われる5つの理由への、私の答え〜


〜忙しい社会人の勉強スケジュール術〜


〜電験3種を取得して分かった5つの変化〜











